テヒはもう一度時計を見て、あらと声を上げた。
「じゃ、詠美、私はもう本当に行かなきゃ…
ミンジュンの事をよろしくね。
私はいつでも詠美を歓迎する。
ミンジュンにそう伝えといて」
ミンジュンのお母さんはあっという間にいなくなった。
詠美は自分の部屋へ行き、ベッドに倒れ込んで大きな声で泣いた。
きっと、私の気持ち一つなのだと分かっている。
ミンジュンにとって、韓国人とか日本人とか、そんなのは最初から関係ない。
温かい家族に憧れ、家族の絆というものを一番信じているミンジュンだからこそ、私が家族を思う気持ちを尊重してくれている。
ミンジュンを愛する気持ちは誰にも負けない…
別れを選んだ場合、ミンジュンのお母さんが歩んできた道以上の過酷な未来がきっと私達にも訪れる。
そんな未来を選んだら、私もミンジュンさんも二人ともがダメになってしまうだろう。
分かってる… 分かってるのに、何で一歩が踏み出せないの…?
それは、あの最愛のお母さんを亡くした日の寂しさを私が知っているから…
あの怖いほどの哀しみを、私の大切な家族にもう味合わせたくない…
だけど、その怖い程の哀しみは、ミンジュンさんと別れた日から、きっと私に訪れる。



