「彼は結婚しようって言ってくれた。
私は、うんって返事をしたわ。
できない事は分かってたけど、彼のその気持ちが嬉しかった。
あの時、何も考えずに彼の胸に飛び込んでいればって、別れた後に何度も後悔して何度も泣いた。
きっと彼との結婚には、想像もつかないほどの苦しみが待っていたかもしれないけど、でも、彼がいない苦しみは私にとってはそれ以上のものだった」
詠美は鼻をすすってずっと泣いている。
テヒはそんな詠美を切なく見つめる。
「ミンジュンはね、私が韓国へ帰ってきてから身ごもっているって分かったの。
彼は、大学を卒業したら、必ず私を迎えに来るって言ってくれた。
でも、もし、僕が韓国へ来れなかったら、その時はもう僕の事は忘れてほしいって。
だから、ミンジュンの事は、彼には言わなかった。
もし、彼が韓国に私を迎えに来てくれたなら、その時に彼そっくりのミンジュンを見せればいいって思ってたから」
「ミンジュンさんのお父さんは、来なかった…んですか…?」
テヒは涙で濡れた目で静かに頷く。
「大学を卒業する時期に手紙が届いたわ。
頑張ったけど、自分なりに努力をしたけど、テヒを迎えにはいけないって…」
どんなに辛かった事だろう…
どんなに悲しかった事だろう…
でも、ミンジュンのお母さんは、そういう中でミンジュンを立派に育てあげた。
テヒは時計を見て肩をすくめた。



