「私は、20代前半の時に、運命的な出会いをした。
ビックリするくらいに、一目見て恋に落ちたの。
本当に結ばれる人と出会う時って、好きになるのに理由なんてない。
気が付いたら、もうその人しか見えないし、その人の虜になってた。
そして、それは私だけじゃなくて、あの人も一緒だった。
…でも、それは叶わない恋だったの。
だって、私の愛した人は日本人だったから…」
詠美は心臓が止まるかと思った。
ミンジュンのお父さんが日本人…?
そんな… そんな事って…
「ミンジュンの父親はね、日本の有名な大学の学生さんだった。
私は親戚に在日の人がいて、その人の家に遊びに来てる時に、ミンジュンのお父さんと知り合ったの。
彼は私の親戚のお兄ちゃんの友人で、韓国にすごく興味を持ってくれてた。
すぐに意気投合して、私が韓国へ帰るまで毎日会った。
今みたいに韓国と日本を簡単に行き来できる時代じゃなかったから、一回韓国へ帰ってしまったらもう会えないって分かってた。
だから、親戚の人達にお願いして日本の滞在をギリギリまで伸ばしたりしたけど、それでも別れはやってくる。
不思議なんだけどね、その時、私が日本に滞在した期間も三か月弱だったの」
詠美の目からポロポロ涙が溢れてくる。
きっと、その時代は、今よりももっと息苦しかったはず…
韓国人と日本人の恋愛なんて、何があっても許されない…



