ミンジュンが私を溺愛すぎる件




ホテルの部屋は、スウィートの中でも驚愕のプレジデンシャルスウィートルームだった。

ホテルのワンフロア全てがこの部屋に使われている。
詠美は入った途端、持っていた紙袋の荷物を落としそうになった。

リビング、ダイニング、キッチン、書斎、それにベッドルームは大小合わせて4部屋もある。

詠美は我を忘れ、その超豪華なプレジデンシャルスウィートルームを探索し始めた。
右を見ても左を見てもため息しか出ない。

そして、何よりも驚いたのはバスルームだった。
濃紺の大理石で覆われたバスルームには、全面ガラス張りの夜景を一望できる広々としたジャグジー、サウナ、ミストサウナ、レインシャワー、名の知れた温泉宿より充実している。
お風呂好きの詠美は、自分がこのお風呂に入ったそんな姿を想像してうっとりしていた。


「エイミー、何してる?」


ミンジュンが詠美を呼ぶ時、独特の発音が英語のAMYに聞こえる。
というよりむしろ、その発音で呼んでいるのかも…



詠美を捜していたミンジュンは、ジャグジーのお風呂のへりに座ってぼんやりしている詠美を見つけた。

肩下でふわりと揺れる巻き髪が外の光に反射してキラキラ見える。

ミンジュンは詠美の不可解な行動に眉をしかめた。
クライアントをほったらかして、ジャグジーに腰かけてるなんて…