「あ、あの、何でそんなに日本語がお上手なんですか…?」
詠美は沈黙に耐え切れず、余計な事を聞いてしまった。
ミンジュンが面倒臭そうに詠美を見る。
「日本でブレイクした時、日本人の彼女がいた。
言語を取得するには、恋人を作るのが一番だろ?
ま、でも、そこには愛はない。
金を積んだだけの付き合いだから」
詠美は質問の答えが返ってくるたびに、ミンジュンの癒し系の笑顔が遠のくのを感じた。
性格がいい人間か悪い人間かと言われたら、きっとミンジュンは悪い人間に属するのかもしれない。
詠美は小さくため息をついた。
これは単なる仕事… 割り切って頑張らなきゃ…
今度はミンジュンの方が詠美の様子を窺っていた。
「ねえ、もしかしてハーフ?」
ミンジュンから突然話しかけられて、詠美は腰が浮く程驚いた。
「ハ、ハーフ? 私がですか??
いえ、生粋の日本人です。
それも、ちゃきちゃきの下町の江戸っ子です」
ミンジュンはそう聞いても、詠美の顔から視線を離さなかった。
詠美の顔が、火がついたようにに赤くなるのが面白過ぎる。



