「ミンジュンさん…
浅草に行く前に、私の方からミンジュンさんに話しておかなきゃならない事があるの」
詠美もお風呂上りのため喉の渇きを冷たいミネラルウォーターで潤し、そして、ソファでくつろぐミンジュンの隣に座った。
「実は、私、生まれも育ちも浅草で、私の実家は浅草の一番いい場所で煎餅屋を営んでいて…
その煎餅屋は80年以上続く老舗で、私の父は三代目として家業を守ってるの」
ミンジュンは詠美の話を、驚きとワクワク感満載で聞いている。
「だから、お忍びで私がミンジュンさんを連れて観光なんてできない。
だって、あの一帯は私にとっては庭みたいなもので、どこへ隠れても絶対誰かに見つかってしまうから」
ミンジュンは何も口を挟まずに詠美の話を聞いていた。
「でも…
ミンジュンさんを浅草に連れていくからには、浅草のいい所をたくさん見せてあげたい。
…だって、ミンジュンさんの東京巡りリストに一番大きな文字で浅草って書いてあったでしょ?」
ミンジュンは隣に座る詠美を自分の元へ引き寄せた。
「俺は韓国の人間だけど、浅草の事はよく知ってる…
ちゃんと観光した事はないけどね。
下町情緒に溢れてて、人間同士の繋がりが濃くて、そして日本を一番感じられる場所」



