「えいみ…だっけ? 三か月間、どうぞよろしく」
詠美はこの挨拶で完璧にミンジュンの虜になった。
だって、韓国と日本でブレイクした本物の韓流スターをこんな間近に見て、メロメロにならない女子は絶対にいない。
でも確かにミンジュンが言うように、テレビや映画で観ていたミンジュンとはどこか違う。
荒っぽさというかワイルドというか、見た目は癒し系の優しい顔つきなのに、そのギャップは女子力ゼロの私でさえうっとりさせた。
「あ、それと、詠美や俺の会社の人間以外の人達に会う時は、俺は日本語は全く喋れない設定だから。
ちゃんと通訳して」
「え? こんなに流暢に喋れるのに?」
「人間、バカなくらいが取り引きは上手くいくんだ」
取り引き??
え、でも、確か日本の俳優さんのオーディションで来日したって聞いたけど…
「あ、はい、分かりました…
私の通訳で良かったら…」
車は渋滞にはまり、中々前へ進まない。
詠美は隣に座るミンジュンをついつい何度も見てしまう。



