いや、私の知っているミンジュンよりもいい男かもしれない…
ミンジュンよりいい男ってどういうこと…?
私はこの若さで、人生の全ての運を使い果たしてしまったみたい。
「アンニョンハセヨ… チョヌン…」
詠美が韓国語で自己紹介をしようとしたら、蛇のように目を釣り上げたミンジュンが詠美の言葉を制した。
「日本語は話せる。
使える通訳を頼んだはずなのに、俺に助けられてどうする?」
詠美は絶句した。
日本語がペラペラ過ぎて、まるで日本人と話しているようだ。
「そ、そんなに、日本語はお上手なのに、な、何で通訳が…?
あ、その前に、あのあなた様は、あの、俳優のミンジュンさんですよね…?」
詠美は確信はしていたが、本人からまだ何も聞いていない。
まずはそれを確かめなければ、この先どう対応すればいいか判断ができなかった。
「世間一般に知られているミンジュンは、7年前に死んだ。
今ここにいるミンジュンは、素のミンジュン。
きっと、あなたが思い描くミンジュンとはかけ離れてると思いますよ」
ミンジュンは、自分の事を覗きこんで見ている詠美の鼻先まで顔を近づけてそう言った。



