すると、ミンジュンのスマホがブルブル震え出した。
多分、きっと、テヒョンかジノからだろう。
ミンジュンはスマホを手に取るとソファへ投げた。
そして、隣に座る詠美の椅子を自分の方へ向けて、下を向く詠美の顎をまた持ち上げた。
「詠美は俺に買われてる。
そう思われるのがイヤか…?」
ミンジュンは何とも言えない腹立たしさを覚えていた。
恋人の契約なんて、最初からただの口先だけの約束だ。
でも、そのきな臭い契約を何も疑わずに従順に守っていた詠美の心が傷ついているのが、無性に腹立たしかった。
それは、俺自身にか、それともテヒョンにか…?
「買われてるなんて、今でも思ってません…
テヒョンさんが言う様な、体の関係…もなかったし、強要されたこともないし…」
テヒョンのくそ野郎…
詠美に何を言ったんだ…?
詠美は小さくため息をついた。
「そっか…
そうですよね…
もし、ミンジュンさんの目的が私の体なら、もう今までに何度も襲われていてもおかしくない。
でも、私は今日まで楽しく仕事をしてきたし、不快な思いは一度もした事がない。
恋人の契約イコールセックスって、そんな風に思う方がおかしい」
詠美の顔色が見る見るうちに明るくなる。
というか、その前に、テヒョンと詠美の会話を教えてもらったのも同然だ。
テヒョンには説教をしなければならない。
俺の私生活に口を出すなら、東京湾に投げ落とすぞと。
詠美はやっと三日月の目の笑顔をミンジュンに向けた。



