「食べさせようか?」
詠美はブンブンと首を横に振った。
「大丈夫です。自分で食べれます」
でも、後の祭りだ…
ミンジュンは私の隣に椅子を近づけるとスプーンを手に取り、お粥を優しく私の口元へ運んでくれる。
詠美は胸が詰まってまた涙がこみ上げる。
ミンジュンはきっと子供の時に、こうやってお母さんに食べさせてもらったのだろう。
詠美にはそういう記憶はなかった。
お父さんとお兄ちゃんの三人家族では、こういうスキンシップはほとんどなかったから。
「ほら、あーんして…」
詠美は照れくさそうに笑って、口を開ける。
ミンジュンが口に運んでくれたかぼちゃ粥は甘くて美味しくて、我慢できずに詠美の頬に涙が一粒落ちた。
「ミンジュンさん…
何で、こんなに、私に優しいんですか…?」
「何でって…
恋人同士だったら、優しくするもんだろ?」
ミンジュンは、詠美の頬を流れる涙を指でぬぐった。
きっと、何かあったに違いない…
いつもの詠美とは全然違うから…
「でも、本当は恋人同士じゃない…
私は、ミンジュンさんにお金をもらって、恋人のふりをしてるだけ…
なんていうか…
私、やっぱりそんなのに慣れてなくて…
バカみたいに真面目なところがあって、なんか、冷静に考えたらいけない事をしてるんじゃないかって…」
下を俯いて俺の顔を見ない詠美の顎を、優しく自分の方へ向ける。
「誰かに、何か言われたか…?」



