ミンジュンが私を溺愛すぎる件




詠美はとっさに手を振ってこちらですと韓国語で声をかけた。

外を見ると、黒塗りのベンツが入口近くに横づけしてある。
詠美はベンツの中を確認すると、目印の派遣会社のロゴのついた書類を見つけた。

え? SPの人達はどうするんだったっけ??
私は乗っていいんだっけ?

この場に及んで確実にパニック状態になっている自分に、ますます慌てふためいた。

とにかくこの韓流スターを先に車に乗せなくちゃ…

詠美はその韓流スターが近くに来た事を確認すると、すぐに車のドアを開けてその人を無理やり押し込んだ。

あとのSPさん達は???

空港に出待ちをしていたおばちゃん達が、一気に車目がけて走って来るのが見える。

詠美はもう目が回ってしまい冷静な判断ができず、ただSPさん達や追っかけの人達をドキドキしながら立ちすくんで見るだけだった。

すると、車の中から誰かが詠美を引っ張り詠美が後部座席に乘ったと同時に、その車は凄い勢いで走り出した。

詠美はポカンとその場に座っていると、横で聞いた事があるような声がする。


「全く役に立たないな」


詠美は恐縮しながらその人の方へ顔を向けると、その人も大きくため息をついて詠美を見た。




え? え?? もしかして、ミンジュン…?