電車が通り過ぎるまで

「...いで」
「え?」
「こないで!」
なんで、そんなにやさしくするの?
私は彼から、一歩下がった。
頬を染めだした木々が、
私には当たらない風で、
ザワザワとうごめく。
「叶笑さん...」
彼が、一歩近づく。
どうして、そんな悲しい顔をするの?