電車が通り過ぎるまで

自分の誘いを断ったのは、
恥ずかしいからなのだと思った。
だけど、違ったのだ。
記憶をなくし、
きっと、怖い思いをしているのだろう。
あの頃の彼女とは、少し違った。
だけど、彼女に対しての気持ちは、
今も変わらないのだ。
「あっ...!」
いつもの遮断機だ。
向かい側から、聞き覚えのある声がした。