きっと、
彼を見つけたからだろう。
ドアの端に立ち、
本に落としていた視線をあげる。
私と目が合う。
電車のなかの彼の影と、
私の影が、重なりあった瞬間。
彼は、微笑んだ。
なぜ、微笑んだのだろう?
なぜ、
いつもと違う台詞をいったのだろう。