愛言葉

待ち合わせ場所に行くと、もうすでに理仁と楓真はそこに立っていた。
「お前らおせーよ」と、理仁は笑って言った。
私たちは談笑しながら駅に向かった。
「なぁ」
理仁に突然話しかけられた。
何の用かと、理仁の顔を見ると「お前今日化粧してる?」と尋ねられた。
私が普段全く化粧をしたことがないからか、かなり不思議そうな様子だ。
確かに考えてみれば、バッチリメイクをしたのなんて、小学生の頃に習っていたダンスの発表会ぐらいだ。
「ま、まぁね。全部葉月にやってもらったの」
自分のバカ。これじゃあ自分の女子力の低さを理仁にアピールしていることになる。
「へー、葉月って女子力高いのな。みのりと違って」
「ちょっと! 一言余計だと思うんだけど!?」
私たちは笑いながら言い合いをしていた。
その様子を、葉月と楓真は苦笑いしながら見つめている。
「あ、ちょっと俺コンビニ寄っていい? 飲み物買わせて」
理仁がコンビニに寄りたいというので、私たちは外で待つことにした。
数分後に出てきた理仁の手には、エナジードリンクが1つとカルピスが1つ。
「これ、お前好きだろ」
理仁はそう言うと、私の手にカルピスを渡してくれた。
「ありがと」と言うと、理仁は無言でうなずいた。
不器用だけど理仁はいつも優しくて。
その優しさに触れるたびに、私は淡い期待を抱いてしまう。
でも理仁には好きな人がいる。その事を考えるたびに、私の胸はギュッと締め付けられるのだった。