みのりside

もうすぐ、3年間通った中学を卒業する。
私、木崎みのりは、着慣れた中学の制服をまじまじと見ながらため息をついた。
「みのりどうしたの? ため息なんかついて」
友達の南羽葉月が、私の顔を覗き込んで言った。
葉月は、小学校の頃に転校してきた。それ以来いつも私と一緒にいる友達だ。
いつも相談に乗ってくれたりして、私が唯一心を許せる相手だ。
「高校生になったら、今みたいに理仁と同じクラスになれるか分からないじゃん。しかも理仁は好きな人がいるって言ってたし、私の勝ち目がますますなくなっちゃうよ…」
理仁は、私が小学校の頃から片想いしている相手だ。
家も近く親同士も会えば話す程度の仲だが、理仁は好きな人がいるとこの前本人が言っていた。
「じゃあさ、春休み中に理仁も誘って遊びに行こうよ! 私の彼氏の楓真も誘ってダブルデートしようよ!」
葉月の彼氏の戸渡楓真と理仁は、小学校の頃から仲がいい。中学では、同じ男子ソフトテニス部に所属していた。
葉月は、私が何も言わないでいるといつの間にか楓真を呼び、遊びに行く件を話していた。
楓真は「いいね! 俺が理仁のことは誘っておくよ」と快諾してくれた。
「帰りに告白してね? それがメインイベントなんだから」と、葉月にいきなり言われたのは気にしないことにした。