「車屋さんで働いてる友達から、タイヤ買おうと思ってたから」

「友達って男?」


「…うん、でも昔から知ってる人だから」

先生はいきなりケータイを奪って着信履歴を押した。

「断れよ、タイヤなら俺が別の店で選ぶから」

「でも、もう注文しちゃったし」


「いいから断れよ!」

大きな声に驚きながら、私は電話をかけて断った。


嫌な声一つしない友達に心が痛む。

「…うん、ほんとにごめんね……うん」

チラッと視線を移すと
先生はイラついたようにチャンネルを変えていた。


パタンとケータイを閉じた。