夢を売る少年

俺があいつに会ったのはこの学校に入学して4ヶ月位経ってからだった。

俺は中学2年まで母さんに女手一つで育ててもらった。
父さんは俺が四歳の頃に他界した。

それからは母さんと2人で暮らしてきた。



中学2年の春、母さんから一人の男を紹介された。


「こちら、有原悠久さん。」

「寛くん、こんにちは。有原です。」


母さんより少し年上か、という風貌。
優しそうな笑顔が俺には気に入らなかった。


「こんちは。」


素っ気なく挨拶を返す。
そんな挨拶にもめげることなくアイツは声を掛けてくる。


「ははっ、いきなりでびっくりするよなぁ。」


あんな挨拶されたにも関わらず笑顔で話し掛けてくる。
そりゃそうだよなあ、母さんに良いところ見せたいんだろ?なんて、嫌でも考えてしまう。

母さんはそんな俺とにこにこした有原さんを、微笑みながら見ていた。


有原さんが帰って、母さんと二人きりになったとき、聞きたくない言葉を放たれた。


「お母さんね、有原さんと結婚しようかと思ってるんだけど、良いかな?」