「わあ、どこ座るー?」

「うちここー!隣来てー!」

「俺歌いたい曲あるんだけどー!」

「ちょっと待てって、俺が先だっつーの。」


がやがやとカラオケBOXにみんなが入っていく中、わたしはじっとうつむいてドアの前に立っていた。


どうしよう…本当に来ちゃった。


怖くて足がすくんで前に進めない。


カラオケなんて、お姉ちゃんとしか来たことないのに…


どうしてわたし、きちゃったんだろう…


「お、どした?」


するとわたしの前を歩いていたはずの悠が隣にいて、わたしの顔を覗き込んできた。


「や、やっぱりわたし帰る。」


そう言って背を向けようとしたものの、案外強く悠に腕を掴まれたからわたしの行動は阻止された。