お姉ちゃんの黒いタンクトップが陽に焦がされているように見える。


しなやかに伸びる筋肉質な足をじっと見つめる。


いつものように落ち着きのないお姉ちゃんは立ち上がると、空中バスケをしているかのように腕を動かした。


「悠ちゃんが引っ越す一週間前ね、わたし悠ちゃんにあったんだ。」


お姉ちゃんは軽くジャンプしてシュートのポーズをする。


「平日の放課後で、部活帰りだった。」


お姉ちゃんは日差しに逆らうように太陽に背を向ける。

まるでわたしに顔を背けるように。


「ちょうどバスケ部の後輩が負傷してて、病院にお見舞いに行った時。」


片足をゆっくりと上げては近くの小石を軽く蹴る。


「バスで二時間くらいの、この地域で一番大きな病院。」


わたしは口に溜まった唾を飲み込む。

お姉ちゃんはの視線は小石に向けられている。


「その待合室に、悠ちゃんがいた。」