本の古い匂いが鼻をくすぐる。


なんども捲られて脂が染み込み柔らかくなった紙に指先で触れ、すぐに次のページに行けるように待機している。


たくさんの文字が脳を駆け巡っては刺激する。


まるでおかしくなったみたいに捲り続け、読み続ける。


そしてパタンと本を閉じると、積み重ねてある一番上の本に手を伸ばす。


大量の知識がどんどんと入ってきて、耳鳴りがする。




もっと…もっと…もっと…!




「穂花!」



そんな時、明るい声がかけられてわたしの狂った脳は停止した。



「何してんの、怖いんだけど。」



眉間にしわを寄せながら顔を上げれば、不審がるような顔をしたお姉
ちゃんがいた。