爽やかな春の風を感じながら、二人で歩く。


特に話すこともなかったけれど、やっぱり、何かが通じ合っているような気がした。


ふと、わたしは小さい頃の自分に戻ったような気がした。


わたしが父のことで泣いていると、美菜ちゃんはいつも隣にいてくれた。


そしてわたしの手を小さな手でぎゅっと握って、


『穂花は悪くないよ。わたしは穂花が大好きだよっ。』


って何度も言ってくれた。


父の行方が自分の家だと知りながら、美菜ちゃんはどんな気持ちでわたしを励ましてくれていたのだろうか。


『ずうっと一緒だよ。』


美菜ちゃんはそう言ってくれた。


なのに、わたしは美菜ちゃんが裏切ったとか、想像もできないほどひどいことを言って、逃げたんだ。


美菜ちゃんは、ずっと、ずっと謝ってくれていたのに…


わたしは隣をゆっくりと歩く美菜ちゃんを見る。


可愛らしい一つの三つ編みにした髪が風で揺れる。


小さなつぶらな瞳がちらっとわたしを見る。



なぜだかわからないけど、わたしたちは微笑み合った。