HEROに花束を(完)


朝の何気ない会話とか、下駄箱で肩がぶつかってしまった時のお互いの謝罪とか、そんなことすべてがわたしにとっては宝物のような時間だったんだ。


今はもう戻ってこない、大切な時間。


もっと見ていたい。


あと一秒でも長くその瞳に映っていたい。

わがままで自己中な自分はいくら隠そうと思っても姿を現してしまうんだ。


髪の毛跳ねてないかな。

今日は右目が二重じゃないから彼の左側を歩こう。

体操着は似合ってないから、早く着替えて彼の視界に入らないようにしよう。


きっと相手は気にも止めていないようなことに対して、

本当におかしいくらい自意識過剰になってしまう。