HEROに花束を(完)


わたしがその人を見ると感じる、この甘酸っぱい気持ちを同じように抱いてくれていればいいのに。

ふとした時に、わたしのことを考えてくれればいいのに。


その人の好きな人がわたしだったらいいのに。


恋なんてちっとも甘くなんかない。


今回のは、どこにでもあるような淡い恋なんかじゃないんだ。

恋する乙女ごっこをしているわけでもないし、恋する自分に自惚れているわけでもない。

ただ、逃げたいほど苦しい網に引っ掛かってしまって、

それは一向にその人のことを忘れさせてくれないんだ。


恋を追ってきたわけじゃない。
恋に捕まってしまったんだ。