少しだけ涼しくなった風に髪を煽られながら、わたしは駅の改札口を急ぎ足で出る。



早朝は通勤のサラリーマンや学生でごった返し、駅から出るので一苦労だ。



同じ制服を着た生徒がちらほらと見える中、わたしはみんなと同じように足を揃えて歩いている。



そしてふと、通学路の真ん中で立ち止まる。



ーざわざわ


木々が優しく囁いている。


次桜が咲くのはまだまだ先だ。



ふと横を見れば、わたしの周りを人が流れてゆくのがわかった。




規則正しく動き、規則正しい生活を送っている。




わたしは、川の流れに逆らう小石のようだと思う。




でもそれはわたしが流れに乗れないからじゃない。





ーただ、乗らないんだ