しばらく歩いていると、街頭がの電気が壊れている場所に差し掛かった。


「よし、ライト点灯!」


そういったかと思えば、悠はポケットから懐中電灯を取り出した。

それも、ものすごい眩しい懐中電灯だ。


「なんで懐中電灯を持ってるの?」


「今日これ修理に出したばっかだから、たまたま。おもしろくね?」


悠は楽しそうに暗い道を照らしながら歩く。


「あるーこー、あるーこー、俺はーげんきー。」


まるで小学生みたい。


なんだかおかしくて少しだけ口元を緩める。


悠は本当に面白いな。


「あそこ、家。」


わたしが先を指すと、悠はいった。


「お前のお母さんに挨拶しないと。遅くなってすいませんって。」

「えっ、いや、いいー」

「つべこべ言わずに付いて来ればいーの。」


普通の人だったら、家族に合うなんて気恥ずかしいことしないのに、

悠は変なところでしっかりしている。

最近の男子高校生ってこんなものなの…?

男子と関わらないわたしにはわからない。


だけど、悠の人の良さだけは伝わってきた。


わたしがガラッと戸を開けると、悠は当たり前のように付いてくる。


「ただいま、おか、」

「ちょっとほの!どこ行って…」


そこまで言いかけてお母さんの言葉はぷつんと切れた。


「すいません、遅くまで穂花さんを引き止めてしまって、!」


悠が頭を下げた。


「えっ、あの、どちら様で?」


もちろん、お母さんはパニック中だ。


「穂花さんの友達です。」


悠は照れたように口角を上げる。


「友達?」


お母さんは目を見開いたままフリーズした。