指定されたかき氷屋さんの前までくれば、


「おー!やっほー!」


って手を振る千秋ちゃんの姿が見えた。


ボーイッシュな彼女は黒地の布に青い金魚が泳いでいる、なんとも大人っぽくて綺麗な浴衣を着こなしていた。


いつもはボサボサのポニーテールにしている彼女は、一つのおしゃれな右側にまとめたお団子にしていて、すごく似合っていた。


「ねえ!見てー!これさあ、穂花が似合うって言ったから買ったけど、絶対おかしいって!」


そうまくしたてる千秋ちゃんをなだめるようにわたしは笑った。


「似合ってるよ。」


「ていうかさ!穂花可愛すぎて死にそうなんだけど。」


「死なないで。」


「やっぱり穂花はピンクだよね〜。」


そう言って一人勝手に会話を進める千秋ちゃん。


これは千秋ちゃんに勧められて買った、桃色の生地に黄色の花模様の、少しだけ子供らしい浴衣。

わたしは自分でもファッションとかがわからないから、全て千秋ちゃんとお姉ちゃんにまかしてしまった。