HEROに花束を(完)


「お母さんっ、お皿運ぶね!」


ちょうどお昼前。


わたしはバタバタと台所と居間をの間を行ったり来たりしている。


「そんなに急がなくてもいいでしょう。悠ちゃんは良い子なんだから。」


お母さんは呆れている。


「そうよ、ほのちゃん。悠ちゃんはすごく優しい子なんだから。」


この家庭で、なぜか悠は異常に気に入られている。


みんながみんな『良い子』、『優しい子』、『元気な子』、『成長盛りのわんぱくくん』、なんて、まるで悠を子供なのかと思っているような表現で褒めている。