心に芽生えた淡い気持ちの理由に気づいて、一人で小さく微笑む。


「悠は優しいね。」


そういえば、君はくすって笑う。


「今日はやけに素直だな。」


「そうかな。」


背の高い悠の顔を見上げれば、なんだよ、ってそっぽを向く君。


いつもなら気にしない些細なことなのに、今日ばかりはなんだかお互いの距離が少し近いような気がした。


別に腕が触れるくらい近いわけじゃない。でも、遠いわけでもない。


このなんとも言えない距離がくすぐったくて、わたしは洋服の裾を握りしめる。


なんか今日はもう胸の内を全てさらけ出しちゃいたいって思った。


もうどうにでもなれ!って。


「ねえ悠?」


「んー?」


両腕をぶらんぶらんと子供みたいに上下させながら歩く悠が振り返る。


キリッとした瞳がわたしをとらえ、微風で、前髪がまた悠の額にかかる。



わたしはそんな悠にふふっと笑いかける。



「なんだよ。」



悠はまた前を向いて、さっきみたいに歩き始める。



わたしは息を大きく吸い込んで、ふわっと微笑んだ。