「そう、よかったね。」


ちょっとしわが増えたお母さんは微笑んだ。


「おじいちゃんに挨拶をして、早く着替えちゃいなさい。」

「はい。」


わたしは答えると、調理室をでて、そのまま階段を駆け上がる。

居間に上がると、中央に置いてある写真に向かって頭をさげる。


「おじいちゃん、ただいま。」


大好きなおじいちゃんは、写真の中で歯茎を見せて陽気に笑っている。



そしてわたしは自室に行く前に、隣の部屋に足を踏み入れる。


「お姉ちゃんただいま。」

「んー。」

お姉ちゃんはベッドに寝転がったまま、なにやら携帯をいじっている。


「潤くん?」

「そー。」


お姉ちゃんは顔をしかめながら携帯の画面を見つめている。

潤くんとお姉ちゃんは、もう付き合って一年。

家族も承認済みで、もうまるで夫婦みたい。


「ねー、ほの信じられる?潤ってばあいつうちにきったないズボン置いてったんだけど。触りたくもない。」


潤くんはよく家に遊びに来る。

そして今回、家族に進められて甘酒を飲んだんだけど、すごくお酒に弱いみたいでそのまま熟睡しちゃったんだ。

姉ちゃんが気持ち悪い気持ち悪い言いながら無理やりお風呂に連れてったのはいいものの、服を全部置いて帰っちゃったみたい。