HEROに花束を(完)


「悪くなんかない…っ。」


そういえば悠は黙り込んだ。


でもわたしは悠の沈黙は嫌いじゃない。


何かを自分なりに整理して考えているときだって知ってるから。



通行人がじろじろと白い目で見てくる。

だけどそんなことも、もう気にならない。



「ねえ、悠…。」


わたしが涙を飲み込んで尋ねたら、


「うん?」


って悠が優しく答えてくれる。



「ありがと。」



そういえば悠が小さく笑うのが聞こえた。



「おう。」