わたしは震える指で通話ボタンを押した。 「穂花っ?」 悠の声を聞いただけで、体から力が抜けて、安心の涙が頬を伝って服にシミを作る。 「お前、今日マジでなんかあったか?」 涙でシミができた服を見下ろして、悠と同じ灰色の上下なことに気づく。 「…っ悠っ…。」 そう名を呼べば、 「穂花っ…?お前、まさか…泣いてんの?」 悠の焦った声が耳に届く。 ー悠は呼べば答えてくれる。