掃除は昔から割と好きな方だった。

部屋を綺麗にした後の達成感とか、ピカピカになった机で勉強するのはどこかわくわくする。


「ほうき、ほうき…あった。」


教室の端にある掃除用具ケースの中からほうきを取り出して、振り返る。


掃除の班は基本何か重大なことがない限り変わらない。


わたしは五班で、クラスの中心で行動力のある女子三人組と、ガリ勉するので有名な男子一人がそのメンバー。


一緒にお昼を食べている子達とは違うグループの人たち。


教室に戻れば、スカートの丈が短い三人組が窓のあたりでたむろしているのが見えて、すぐに彼女らだということがわかった。掃除のこと…忘れてるのかな?


「あの…、」


思い切って声をかければ、その中でも校則違反ながら耳にピアスを開けた女子生徒がちらっとわたしに目線を向ける。

じろっと品定めするようにつま先から頭のてっぺんまで見られて、あまり居心地が良くなくてうつむきがちになる。


「綾瀬…さん?だよね?」

「はい…。」

「ごめんね?うちら今日大事なミーティングがあって、それの打ち合わせしなきゃいけないんだよねー。」


そっ、か…ミーティングがあるなら仕方がない。


確かこの子たちは帰宅部で…だとしたら、なにか委員会に入っているのかな?文化祭実行委員はよく会議を行っているから、それかもしれない。


「綾瀬さんって掃除好きそうだよねー。」


もう一人の女子が小さく口角を上げながら言う。


「あ、うん…好き、かな。」


どうしてわかるんだろう…。


「そんな感じした。」


え…?そう、かな。


「じゃあーごめん!お願いしまーす。」


そう言って三人んはひらひらと手を振って教室を出て行く。どうしてあんなにクス
クス笑っていたのかは疑問だ。


するとそれを見ていたガリ勉くんもわたしに近寄ってきて、


「綾瀬さん、僕試験勉強あるから、悪い。」


確かに…中間試験が迫ってくる中、勉強したいよね…


「うん、大丈夫だよ!」