それから、相手校がやってくるまでそれぞれ練習しながら待っているとひょこっと1人の男の子が体育館に現れた。


「よう♪」


「何? 中津ちゃっかり現れて……」


なぜか中津くん女子体育館に入ってきていた。


そういえば、試合の時だけ男女共々、どちらの体育館も出入りOKとされているんだった。


「んだよ、応援しに来てやったのに」


「ていうか、そういう決まりでしょうが」


中津くんの言う「応援」という言葉に冬央ちゃんは不服そうに呟く。


「まあ、そうだけどなー」


今度は中津くんがぼや付き始める。


「決まりだからって、どっちか試合があれば絶対応援しなきゃいかないってめんどくせーよな。せっかくの日曜なのに。昨日も部活だったのに、休めねえのかよ」


「あんたのは単なる愚痴じゃない」


「ん? まあな」


中津くんの愚痴に冬央ちゃんは少しだけ引いているものの、彼に対して気にしてはいなかった。


近くに先生が居なかったから良かったものの、聞かれていたらどうするつもりだったのだろう?


中津くんって怖いもの知らずだ。