「えっ助っ人?」



「うん、お願い!」



2学期が始まってしばらく経ったある日、冬央ちゃんが私にバスケ部の練習試合に助っ人で出てほしいと言われた。



「あーいいけど。でも、私…ずっとは動けないからね」



「それでもいいよ!」



「まあ、いいって言うなら出るけど」



「ありがとう!」



うちの高校の女子バスケ部は練習は厳しいけど、言う程強くも弱くもない。



要するに普通だ。



その点、男子バスケ部は強くて大会まで出るほどの実力がある。



基本的にうちの高校はスポーツに秀でて学校自体が運動部に力を入れているらしく、スポーツをしにこの高校に入ってくる生徒も少なからずいる。



まあ、私は冬央ちゃんに誘われてこの高校を受けただけで、でたまたまくるなちゃんと同じ学校だっただけだ。



まあ、くるなちゃん自身同じ学校に来てほしいという懇願もあったが。



「じゃあ、明後日お願いね」



「はーい」



よっぽど嬉しいのか、冬央ちゃんは軽い足取りで教室を出ていった。



バスケは昔から大好きだった。



というよりは体を動かす事が大好きだった。



でも、いつしか好きな事があまりできなくなった。



だから、少ししかできなくなった。



でも、どうすれば元の体に戻るのかわからない。



ただでさえ怖い事ばかりで、どうしようもない。






「ことは、練習行こう」



「うん」



今週の休日に練習試合で助っ人に出る事になり、それまで女子バスケで練習させて貰える事になった。



「えっようやく入るの?」



私を誘う姿に中津くんはバスケ部に入るのかと勘違いする。



「違うから、助っ人。試合の為練習に参加するだけ」


「ああ、なるほど! 女子弱いもんな」



「ちょっと、中津!もう…ほら行こ」



「う、うん」


冬央ちゃんは中津くんを置いて私と教室を出た。



「もう、中津は…」



「仲良しだねー」



「どこをどう見て仲良しに見えるの?」



「えっ違う?」



「違うでしょ」


私から見れば、冬央ちゃんと中津くんは仲良しに見えるけど違うのか。



「ていうか、中津はー」



「ん?」



なぜか冬央ちゃんは私の顔を見やる。



「な、何?何か付いてる?」



「いや、別に」



「?」



よく分からない冬央ちゃんに疑問を持ちながら、気が付くと更衣室へと着いていた。



それにしても、みんなでバスケをするのは久しぶりな気がする。



いつも公園の中の奥にある小さなバスケコートで1人でやってる事が多いから、誰かとするのは中学生以来かもしれない。



それに、本当の事を言うと、みんなでするより1人でする方が楽な気もする。



(なんてね…)