君と僕の遥かな想い

゚・*:.。❁゚・*:.。❁゚・*:.。khulna・*:.。❁゚・*:.。❁


「くるな先輩〜」


「こんにちは♪」


ことはが帰っていってほんの少しだけ寂しい気がする。


でも、ことははいつも学校では話しかけないでほしい顔をする。


理由はなんとなく分かる。


私とことはは何かと比較される。


私がことはより優れているかららしい。


私は別に何か特別な事などしていない。


ただ、普通にしているだけ。


それだけなのに、ことはがどんなに成果を出しても認めてあげない。



「ねえ、くるな先輩」


「ん? あ、唖桐〈あぎり〉くん。どうしたの?」



ふいに声を掛けてきたのは、雫鈴 唖桐〈しずれ あぎり〉くん。


2年の後輩づてで知り合った男の子。


2年生の中で一番かっこよくてモデルみたいだと評判の男の子でバスケがすごく上手くて、中学の頃から選抜など選ばれるぐらいの実力で、バスケ部に入っているけどなぜか週2日だけ部活に出てこないという。


「あの子、くるな先輩の妹?」


「ん? ええ」


(ああ、まただわ)


また、ことはと比較して劣っている言い方をされる。


どうして、こうもことは自身を見ようとしないのかしら?



「ふーん、かわいい子だね。小動物みたいで」


「そうでしょ! ことははとてもかわいいの♪」


(そりゃあ、私の妹なんだからね♪)


当たり前の事だけど褒めてくれると、とても嬉しい。


「確かにかわいいけどさー」


でも、唖桐くんの友達がすぐに否定的な言葉が向けてくる。


「でも、くるな先輩より劣るじゃん。まあ、私と比べたらあの子の方がかわいいかも知んないけど。けど顔だけじゃん」


ことはの事は顔しか見てあげないんだ。


「…それの何が悪いの? かわいいだけでも優れているのに。それって…単なる偏見じゃない? 関係性だけで判断するのは良くないと思うけど」


「………」


思いもしない事に唖桐くんがことはに対して否定する友達に反論する言葉を述べた。



初めてだ。


初めてことはに対して別の意見が出た。


「そうですよね?」


「えっ…ええ」


予想外の応えに思わず固まってしまっていた。


びっくりした。


こんな事を言ってくる人が居るなんて。



「その子の名前ってなんて言うんですか?」


最後に唖桐くんはことはの名前を聞いてきたので、素直に教えてあげた。


「名前もかわいいですね。
ありがとうございます、くるな先輩」


そうお礼を言って、友達と一緒に校舎の中へと向かっていった。


「……かわいいか」


「どうしたの?」


「ううん、ちょっと嬉しかっただけ」


「そうね、よかったね」


「うん」


分かってくれる人は分かってくれる。


けど、やっぱりそういうイメージからなるのか。



゚・*:.。❁゚・*:.。❁khulna゚・*:.。❁゚・*:.。❁