君と僕の遥かな想い

「あーくるな先輩だ。相変わらず綺麗で羨ましいな」


「………」


(はあ)


さすがに耳にタコだ。



「もう、行こう…」


「えっうん」


「そうね」


コレ以上くるなちゃんと一緒に居たら、単なるさらし者でしかならない。


「ことは、もう行くの?」


くるなちゃんは何もわかっていない表情で寂しそうな顔をする。


どうせ、くるなちゃんに言ったところで分かってくれるはずもない。


まあ味方にはなってくれるけど。


「うん、昼休み終わるし」


「そっか」


まだ、くるなちゃんを見て憧れを見ている人がちらほらいる。



「はあ」


思わず溜息が出る。


別に私はくるなちゃんみたいに綺麗になりたいとか、スタイルが良くなりたいとか、頭が良くなりとか、男の子のモテたいとか、そういう欲があるからではない。


むしろそういう類の感情などどうでもよかったりする。


私が劣等感を感じているのは、周りから言われている比較、性格や気質に対してだ。


くるなちゃんみたいな気質だったら、精神がおかしくなったりしなかったんじゃないかと思う。


私は自分が思っているよりずっとずっと弱いって事だ。



「あ、妹もいる」


「妹?」


ああ、この男子もくるなちゃんが好きなんだ。


聞こえてくる声になんとなく、目だけを向ける。


「…………」


「…………」


数人の男女の友達同士の中、1人だけくるなちゃんみたいに目立つ男の子がいた。


(先輩かな)


私はそのまま気にする事なく校舎へと向かった。



「今の先輩かな? なんかかっこよかった!」


「あー確かに」


(さっきの男の子の事だよね?)


あんまり見ていなかったから分からないけど、目立つ人がいると思ってたぐらいだったから。


「かっこよかったんだ?」


「見てなかったの?」


「うん」


見る気にもなれなかったから。


「でも、あの人どこかで見た事あったようなー」


冬央ちゃん何気なくそんな事を言った。


「そりゃあそうじゃない? あれだけかっこいいし」


「そうだけど、そうじゃなくて…」


校内ではないとしたら、冬央ちゃん個人的な事で知っているのかもしれない。


「どこだったかなー忘れた」


結局、思い出す事はできなかったようだ。