「…………」



家に帰り自分の部屋でぼーっとスマホを掲げ、矢吹くんから貰ったクローバーのストラップを見つめる。



あの日、矢吹くんは私が血が怖い事を知ったはずなのに、決して否定しなかった。



私は変に思われるのが嫌で、否定されるのが怖くて、それが辛いから誰にも家族以外言えないでいる。



「………」



でも、なぜだろう。



そのせいもあるはずなのに、仲良くしようと思ったのに。



普段の私ならそんな事思わないのに。



だって私は、上辺だけの関係なら気さくに接せれるけど、それ以上は踏み込めないから。



誰かを傷付けるのも自分が傷付くのは、もうしたくないから。




《ガチャ》



「あ、ことは。帰ってたのね♪」



(お姉ち…)



「くるなちゃん」



扉を開けて入ってきたのはくるなちゃんだった。



一瞬、心の中で「お姉ちゃん」と言いそうになったけど、すぐに止めた。



「……?」



くるなちゃんは私の様子が気になるのか、側に近寄り隣に座り込んだ。



「何か元気ない? 学校で何かあった?」



「……別に。学校はいつも通りだったよ」



「……そう」



くるなちゃんは私に対して罪悪感を持っている。



私が心に傷を負ってしまったのは自分のせいだと思っているから。



その事に対しては、私も思う節があって、私がくるなちゃんをお姉ちゃんと言えなくなって、お姉ちゃんとして見れなくなってしまったのも全部全部、私の心が弱くなったからなのではないかと。



本当はくるなちゃんをお姉ちゃんと言いたいけど、お姉ちゃんとして見たいのに、心の中では分かっていても、表に出す事がどうしてもできない。



お姉ちゃんなのにお姉ちゃんじゃないそんな感情を持ちわせている。



(もどかしい…)



そんな感情になってしまった私だから、くるなちゃんは私の事を「守ってあげなきゃ」「ことはは誰にも傷付けさせたくない」「ことはは私が居なきゃダメなの」そんな意志の強い感情をくるなちゃんは持つようになってしまった。



くるなちゃんが私に対しての感情は正直な所、姉妹や家族に対しての感覚ではない。



むしろ主を守ろうとする主従関係みたいな感じだ。




(きっと私のせいなんだろうな)



くるなちゃんがあんな風になったのは私のせいである。



だから、少しばかりくるなちゃんに対して罪悪感というのが中学の頃から出始めるようになっていていた。



でも、どうしたらいいのか私には分からない。