「あれが噂の転校生?」


「かわいいー」


今日は始業式なので、すぐに学校は終った。



俺は未だに女子から黄色い視線を浴びさせられていたけど、特に気にはしなかった。


「なあ、女子からの視線気になんねーの?
俺、結構気になるんだけど」


「ん? 別に?.どうとも」


「根太い神経持ってんな。
お前って幼稚園の時そんなんだったっけ?」


「そりゃあ、変わるでしょ。昔と今じゃ違うんだから」


零宮が言いたいのは、昔のまだ純粋で明るく少し泣き虫だった俺の事を言っているのだろう。


「そうかな? 俺は変わんないよ?」


「まあ、そうね」


確かに見た目は変わったとしても、性格はそうそう変わるものではない。


でも、俺は大幅に変わってしまっている。


「確かにことはも性格はあまり変わってないと思うけど、でも変わってしまった部分があるのは事実かもしれない」


「そうか? いつも通り明るく見えるけど」


「普段はね。あの子はいつも警戒して生きてるから」


「………」



『昔はもっと明るかった』



そうくるなさんは言っていた。


それは、どういう意味での明るい彼女だったのだろう。


聞けば聞くほど分からなくなる。


そして、聞けば聞くほどに気になる自分がいる。


「昔のことはちゃんってどんな子だったんだろう」


ポツリと漏らした言葉に宇月さんは不思議そうな表情で「気になるの?」と聞いてくる。


「そうじゃあないんだけど、あの子は俺の中にズカズカと入って来る癖に、一歩の所で止まるから少しいたたまれない。俺は出来ればそっとしておいてほしいのに」


「うーん、そっかあ。
まあ、変な所でしつこい所あるからね」


あれはしつこいというか、距離をグイグイと縮めてくるというか。


でもなんだろう、その癖に不器用さも感じる。


なんだろうな、本当に…。