君と僕の遥かな想い

気が付くといつのまにか駅へと着いていた。


「…………」


駅へと着いても、沈黙なのは変わらなかった。


結局、さっき聞いてきた矢吹くんの疑問に答える事はできなかった。


すると、ふいに矢吹くんが私にささいな声で掛けてきた。


「ねえ、ことはちゃん」


「なに?」


「ことはちゃんは好きな人いる?」


「えっ」


何を言うかと思えば、矢吹くんは思いもしない言葉を放ってきたのだった。


しかもその言葉のチョイスが驚愕だった。


「別にいないけど…なんで?」


矢吹くんは絶対にいないと言えるけど、もしいたら、それはそれで驚愕だと感じる。


「だと思った」


「そう…。あの、なぜ」


「なんとなくかな」


その質問はなんとなくで聞くものなのだろうか。


確かに男の子の友達はいても、話すだけの間柄で遊びに行っても2人だけというのはない。


そもそもありえない。



「ねえ、ことはちゃん」


「うん?」


「俺さ、君となら仲良くしてあげてもいいと思ったんだ」


「えっうん聞いた」



でも、それは私の想いに応えてくれただけで、矢吹くん本人の気持ちではないと。


「うん、でも、ちょっとだけ興味を持ってあげてもいいかなって思って」


「えっ」


今、何と…?



「考えてみたんだ。そしたら少しだけ知りたくなったから。どうして君は俺におせっかいなのかと思って」


「………」


興味本位での感情なのだろうか?


それでも興味を持ってくれるのならそれでいいと思う。


「そう…。矢吹くんに言ってこんな事を言うのもあれだけど、私はおせっかいでも何でもないよ。ただ、心が欠けているのは悲しいって思っただけだよ。それに、私の事を本気で知ろうとか思わない方がいいと思う。私は矢吹くんみたいに感情が無ければどんなに楽なんだろうね。私の事情は…幻滅される事が多いから」


だから、誰かに話すのが死ぬ程怖いんだ。


誰かに言うぐらいなら、誰にも言いたくなんかない。


あんな思いするのなら、ずっと黙っておきたい。