君と僕の遥かな想い

結局、宿題はほとんど進まないまま柚里夏ちゃんの家を後にし、おばあちゃんの家へと帰った。


とぼとぼと歩いていると矢吹くんが後ろから声を掛けてきた。


「ことはちゃん、今帰り? どこか行ってたの?」


「! や、矢吹くん…」


「ん?」


「あ、えっと…矢吹くんもどこか行ってたの?」


「うん、友達とこ。うるさいんだよね、来いって」


「そっか…」


矢吹くんはいつもと変わらない様子に私はほんの少しだけ違和感を感じた。


どうしてそんなに明るく振る舞えるんだろう。



「そういやさ、ことはちゃん」


「ふぇっ?」


前の方に歩いていた矢吹くんがふいに私の方を振り向く。


「昨日、灯良さんとの会話聞いてたよね?」


「ええっ」


私が彼の事情を聞くのを躊躇いを持っていた所を矢吹くんは、それとなくしれっと聞いてくる。


「な、なんでそれを…」


「ああ、聞いたから」


「そう」


おじいちゃんから聞いたんだ。


(?)


やっぱり特に気にする事ない表情をしている。


聞かれたら驚くとか困惑する表情を見せる事なく、いつも変わらない表情でいる。


(なんで…)


「それで、何が聞きたい?」


「えっ」


「ん?」


会話の続きみたいな言い方で言ってくるなんて、矢吹くんは気にならないのだろうか。


「確か聞いたんだよね、俺の事」


「あの、気にならないの?」


「えっ」


「だって、他人が突っこんで良い事情じゃないでしょ」


私は正論を言ったつもりだった。


でも、矢吹くんはむしろ゛どういう事?゛みたいな感じでキョトンと首を傾げていた。


「別になんとも」


「えっ」


「可哀想と思いたいなら勝手に思っておけばいいでしょ? 俺は惨めに思いたいとかそういうのどうでもいいんだ。だって気になんかならないし」


「どうして…」


私の思いに矢吹くんは反対に戸惑いを感じていて、むしろなんでそこで感じるのかっと疑問を感じた。


「まあ、とりあえず今日はあれだし明日話すよ。
それに、聞かれちゃったんだから仕方ないもんね〜」


矢吹くんはお気楽な口調で飄々としていた。


そんな矢吹くんの態度に私はどうしても違和感を感じて仕方なかった。