君と僕の遥かな想い

もうすぐ夏休み。


高校生になって始めての夏休みだと言っても、特にいつもと変わらない休日の日々を過ごすだけだ。


「ことは、おっはよ!」



「おはよう、冬央〈ゆお〉ちゃん」


朝、教室に入ると友達の藤崎 冬央〈とうざき ゆお〉ちゃんが程よい大きさの声で私に挨拶しながら近寄ってきた。


私の名前は月野 ことは。


この春、この高校に入ったばかりの高校1年生。


期末も終わり、もうすぐ夏休みという事でクラス内は少しだけそわそわしている感じだ。


「もうすぐ夏休みだねー」


「だね」


「ってどうせ部活三昧だけど」


「ホントだよな。それに合宿もあるよな」


冬央ちゃんと何気ない会話をしていると、ひょこっと現れたクラメイトの中津 圭〈なかつ けい〉が会話に入ってきた。


「うわーやだ…」


「た、大変だね。バスケ部」


「ことはも入ってくれたらよかったのに。
運動神経いいんだし」


「ホントだよな。
中学もバスケだったのに、普通に入んないなんて」


「今からでも遅くないよ、入ろう!」


と、グイグイと冬央ちゃんにせがまれる。


(そう言われてもな…)


「厳しいんでしょ、バスケって」


「かなり」


「だったら無理かな。私、休憩ちょくちょく入れないとダメだもん。運動好きだけど、体力ないからね」


「そう、だね…」


普通はここで「大丈夫! 慣れてくればいける」とか言う所だけど冬央ちゃんは私の体の状況を理解しているのか、それ以上は迫ってこなかった。


「お前の体って変だよな、中学の時は入ってたのにさ」


「まあ、確かに」


実際、中学の頃は2人と同じようにバスケ部に所属していた。


私も高校でもバスケ部に入るつもりだったけど、仮入部した時のあまりにもハードな練習メニューに全く付いて行くことできず断念したのだった。


他の子に出来ても私にはできるものではなかったから。


それに、顧問の先生に「君はこの部に入るのは止めたほうがいい。僕は結構厳しいやり方だから、君の体にはついていけないだろう」と心配されたというのもある。


「来宮先生から「止めた方がいい」って最初に言われちゃってるから」


「確かにね」


「中学バスケ出来てたのは、部活がゆるゆるですぐに休憩とか入らしてくれたからだよ」


「弱かったからね、中学のバスケ部は」


「超が付くほど弱かったもんな」


「本当にね」


入りたくても私には入れない理由があった。


それは、少し他人には言うには言い難い理解されにくいものなのである。


「病気なんじゃねえの、それ? 病院とか行った方がよくね」


中津くんはイジワル半分で言った訳でもなく、本気で心配そうに言ってきてくれるが。


「生憎、病気じゃないんで。
そう言った体の病気はいっさいなく健康そのものだよ」


「そっか。ならいいけど」