君と僕の遥かな想い

「ことはちゃん、お昼食べる?」


お昼になり、おばさんが部屋にやってきて尋ねてきた。


「うん、食べます」


「ふふふ、そう思ってたくさん作ってたのよ」


「えーありがとうございます♪」



2階のリビングの部屋に入り、ダイニングのテーブルにお昼にしてはやや豪勢な昼食が並んでいた。


「ママ、何これ多すぎでしょ。お昼だよ?
夜じゃないんだからっ」


あまりの料理の多さに柚里夏ちゃんはおばさんに注意する。


というか、夜でも多い気がするけど。


「だっだって…ことはちゃん今年も来るって言うから、いっぱい作りたかったんだもん!」


おばさんはおばさんで、相変わらず乙女間満載の言動で柚里夏ちゃんに言う。


「はあ、これ絶対に夜作らなくていいじゃん」


柚里夏ちゃんは呆れた様子でどさっと椅子に座る。


「ことはちゃん、これも食べてね。あとこれもね」


「う、うん」


おばさんはやたらと私の小皿に料理を入れてくる。


入れてくるのは嬉しいけど、そんなに食べれない。


「あの」


「何?」


おばさんはキラキラした目で私を見る。


「そんなに、食べれないかな」


「えっ!?」


そう言うとおばさんはガーンとショックを受けた表情になる。


「そ、そうよね…多すぎだもんね」


そして、唐突に落ち込み、その場にしゃがみ「うっうっ」と泣いているかのような声を出す。


「あ、あの…」


「……」


横にいる柚里夏ちゃんをちらっと見ると、もそもそとゆっくりと食べて無視していた。


「えっと、持って帰っても…」


戸惑いながらそっと提案すると⸺。


「あら、本当に!」


「!」


泣いていたのが嘘のようにばっと立ち上がり、お花が咲いたかのように嬉しそうな表情になる。


「ご家族いっぱいいるし、いっぱい持って帰れるね!」


「そ、そうですね…」


相変わらず、この人はキャピキャピした人だ。


(ある意味、すごいけど)



「柚里夏ちゃんのお母さんは、ふわふわしているというかぶっ飛んでいるよね♪」


私は何気なく嬉しそうに言う。


「ぶっ飛びすぎなの」


柚里夏ちゃんははっきり公言する。


「ふーん」


「…あ」



昼食が済んだ後、柚里夏ちゃんの部屋に戻ってきて、柚里夏ちゃんはさっきの続きの本を読もうと本棚に手を出す。


柚里夏ちゃんはふいっと私の方を見て、「ねえ、後で外いく?」と柔らかく問う。


「えっ」


柚里夏ちゃん自ら外へ誘うなんて驚きだと思うけど、おそらくこれは…。


「買い物に行きたいの」


「そっか」


(だと思ったよ)


「いいよ。後で行こう」


「うん」


柚里夏ちゃんは外へ行くのは嫌いな子だけど、買い物に行くのはなぜか好きな不思議な子である。



自分のお母さんの事を平気でバカにするけど、よくよく考えると柚里夏ちゃんって結構おばさんと似ていると思う。


その事を言うとおそらく「はあ?」とか言われそうだから言わないけど。


(さすが親子だな)