君と僕の遥かな想い

「もうっお母さん!」


「あら、おはよう」


「なんで矢吹くんを部屋に入れたの!」



矢吹くんを無理やり部屋を出て行かせて、着替えてリビングに降りてすぐにお母さんに文句を言いつけた。



「来たんだったら起こしてよ!」


「えー起こしたよ? でも、ことは起きなかったもん。だから矢吹くんに起こして貰ったの♪」


「えー」


「ねー♪」



矢吹くんは矢吹くんでダイニングテーブルで出してもらったコーヒーを飲んでくつろいでいた。



「ほら、ことはも朝ご飯食べて」


「矢吹くんも何か食べる?」


「食べて来たんで大丈夫です」


「………」



なんかお母さんがやけにご機嫌なのは気のせいだろうか。



「変なお母さん」



お母さんの態度になんとなく違和感を持ちながら洗面台で髪をといていると、後ろからお母さんがニコニコした顔で近寄ってきた。



「こっとは♪」


「何? ニヤニヤして何か変だよ?」


「ごめんね。でも嬉しくて」


「嬉しいって何が」


「ことはが男の子と仲良くしてるの」


「別に…」


「聞いた時びっくりしたけど、でもちょっと嬉しかったなー。矢吹くんとても可愛くて良い子ね」


「良い子って…」


(あれ外面だと思うけど)



矢吹くんの性格知っているから、「良い子」という言葉に少し違和感を持ってしまった。


言おうかと思ったけど、なんとなく言う事はしなかった。



「男の子の友達初めてできたみたいで嬉しいな」


「別に学校でも男の子の友達いるから」


「えっ…そうなの?」


「うん」


「…そう」



お母さんは少しびっくりした顔をしていた。



「そっかあ、ならよかった。…ことは、学校のこと全然話してくれないから」


「………」


「まあ、そうね」



話さなくなったんじゃない、話したくなくなっただけ。



「よかったよ、ちゃんと楽しんでいるみたいで」


「……何が」


「学校。楽しい?」


「まあ、そうね」


「なら、嬉しい♪」


「くるなちゃんと同じ学校じゃなかったらって思う時はあるけど」


「でも、ことはにはくるなが必要でしょ」


「………」


(必要なのかな、私に)


お母さんの言葉に歪な程に違和感を感じてしまうのはなぜだろう。


お母さんは知らないからそう言うのだろうな。


私がくるなちゃんの事で悩んで苦しんでいる事さえも知らないから。



「ほら、矢吹くん待ってるから」


「うん…」



お母さんは先にリビングへと戻っていった。



「はあ…必要ね。本当にそうなのかな」



「必要」という言葉に疑問と違和感が同時に襲った。


それが更に私を悩ませる。