君と僕の遥かな想い

嫌な気分の時の夢見はいつも最悪だった。


なのに今日に限ってなぜかお花畑の夢だった。



(何この夢…)



「………ちゃん」


(うーん…誰かの声がする)


「………はちゃん」



少し高めの声だけど、くるなちゃんにしては低い。



「………ことはちゃん」



というか私の事をちゃん付けで呼ぶ人なんていないのだけど。


たまにお母さんが機嫌良い時に呼ばれる事はあるけど。



「うーーん……」



呼び起こしてくる声に少し鬱陶しく感じながらも目を開ける。



「!?」


目を開けて飛び込んできた人物に驚き思いかげず硬直した。



(や…やや…矢吹くん!?)


「あ、起きた!おはよう♪」


(ち、近い…っ)



顔がとても近い。


息が掛かる近さ。


いや、さすがに寝起きは困る。



「お…おはよう…ございます」



さすがに反応に困惑していたが、とりあえず挨拶だけした。



「あはは、何でそんな困ったような顔で言うの?」



なぜか嬉しそうにそう言われた。



「なんでいるの?」


「なんででしょう?」



なぜ質問を質問で返すの?


そして、なぜそんなに嬉しそうなの?



「窓からとかかもねー?」


「は?」



窓閉まってる筈だと思うんだけど?



「……くっ…はは…いやまあ…冗談だけどね」


「………」


「ふっ普通に玄関から入ったんだけどね…はは…くくっ」


「………」



なんだろう…ものすごくバカにされた感が。



「はははー」



そしていつまで笑ってるんだろう。



「いやーおもろー」



今のどこが面白い要素があったのだろう?


謎すぎる。



「……ていうか、なんで部屋にいるの?」


「許可もらったから」


「誰に?」


「君のお母さん」


「えー」


(また勝手な事を……)