君と僕の遥かな想い

「月野さん、もう帰るの?」


「あ、はい」



矢吹くんの部屋を出て雫鈴先輩に声を掛けられた。



「………」


「?」



雫鈴先輩はなぜか私の顔をじっと見る。



「あ、あの…」


「少し元気になったみたいだね、よかった」



そう言ってふわっと私の頭に触れる。



「雫鈴先輩…」


(そっか…)



先輩はずっと私が元気がない事に気付いてたんだった。



(暖かい手…)



どうして彼はこんなにも優しくて暖かいんだろう。


心がとても優しいから暖かいのかな。



(心地いいな、なんか)


「うわーセクハラだー」



と、後ろから矢吹くんがいつの間にか覗いていた。



「誰がセクハラだ」


「あー違うんだーふーん」


「違うだろ、普通に」


「そっかー」


「なんでちょっと残念そうなんだよ」


「えーあはは」


「………」


(楽しそう…)



矢吹くんって雫鈴先輩といる時ってすごく自然体だ。



いつもの仮面を被った感じではなくて、これが本当の矢吹くんなのかなって。



雫鈴先輩もなんとなく雰囲気違うのもいいな。



「仲いいんだね」



思わず笑みがこぼれた。



「そりゃあ、幼なじみだからね!」



そう言って雫鈴先輩の肩を掴む。



「まあ…昔からの仲だからね」


「そっかあ」


「あ、ことはちゃん。もう帰るんでしょ、送るよ」


「あ、うん。ありがとう」


「じゃあ月野さん、またね」


「あ、はい」



そう挨拶をして雫鈴先輩の家を後にした。