(口が悪いのは意外だったな)


ギャップというやつか。


「……それにしても、たくさんあるね」


矢吹くんの部屋にはたくさんの荷物やダンボールがあった。


「うん、材料とか試作品とかあるから」


そう言ってダンボールに何やら詰めていた。


「それは?」


「向こうに送るの、次のシーズンの物作るから部品とか色々」


「ハロウィンとか?」


「ハロウィンはもうだいたい終わってるから、次はクリスマス」


「へー」


「なんかすごいね」


物作りできるって本当にすごい。



「全部自分で考えてるの?」


「うん、だいたいは。打ち合わせとかしてそのお店の方から大まかなイメージを聞いて、そのイメージのデザインを考えてサンプルを書いて確認してもらったら作ってるんだ。メッセージとか電話でもできるんだけど、直接の方が伝わりやすいから」


「なんかプロみたい」


「あはは、そうだね。…物作りは楽しいよ。夢中になれるから。いらない事も全部、考えなくて済むからね」


なんかわかる気がする。


辛い時に1人でバスケしていると心が落ち着く。


みんなでやるのは辛い時があるから。


でも、正直に言うと毎日が辛い。


向こうに住むことができなくなって、こっちに引っ越してきたけど、一度も良かったなって思った事がない。


でも、向こうに帰ると心が穏やかになる。


なぜだろう。


本来なら向こうの方が辛い筈なのにな。


原因というか理由はくるなちゃんなのだろう。


そもそも事の発端は全部くるなちゃんだから。


くるなちゃんの事は大好きなのに嫌いなんだよね。


どうしたらこの感情が消えてくれるんだろう。


そしたら、ちゃんとお姉ちゃんとして見れるのかもしれないのに。