「あー不本意だけど、紹介するか」


「どういう意味よ!」


おそらく雫鈴先輩はお姉さんの事を少々舐めている気がする。


「えーっと、この子は月野 ことはちゃん」


「ことはちゃんって言うのね! 名前もかわいい」


「初めまして…」


「あたしは唖桐の姉の雫鈴 瑠里雨〈しずれ るりあ〉大学2年よ。よろしくねー」


「あ、はい」


やはり圧がすごいな、この人は…。



その後、お姉さんは自分の部屋へと戻っていった。


「やっとどっか行ったよ」


「本当に鬱陶しいわ」


2人してお姉さんに対して疲れた表情をしていた。


「圧がすごい人ですね」


「圧っていうかうざいだけだよ」


「そっか」



でも、なんだろう…やっぱりくるなちゃんとは違うな。


辺り前なんだろうけど。


「でも良い人ですよね」


確かにちょっとしつこい所があるかもだけど。


「悪い奴ではないんだけど」


「俺はいつも迷惑なんだけど、ていうかあいつに無理やり初キスとか奪われてるんだけど」


「まあ、それはしゃあない」


「なんでだよ。まじで興味ないんだけど」


「言っても照れ隠しだと思われてるからな」


「どう思ったら、そういう考えになるんだよ」


「まあ、しゃあない」


「だから、なんでだよ」


おそらく雫鈴先輩はめんどくさいから、諦めモードに入っているんだろうな。



「もう、一層の事付き合ってやったら?」


と雫鈴先輩はからかうような言い方で言ってきた。


「お前なー! 絶対に嫌だ!
興味ないって言ってんだろうがっ」


「だよなー」


「わざとだろ」


「あはは」


絶対にわざとだと思う。



「つーかさ、キスしてくるのなんとかしてくんない?
ほんとに嫌なんだけど」


「そんな事言われてもなー」


「他人事だと思って」


「まあ、お前自分からした事ねえもんなー」


「………」


「!」


雫鈴先輩の言葉に一瞬矢吹くんは黙り込んで、私も同じように反応してしまった。


「ん? あるの?」


「………ないけど」


「?」


そっと隣に座ってる矢吹くんに微かに目を向けた。


「………」


「一応言うけど、無理だから」


「だよなーはあ」


よっぽど嫌なのか溜め息を吐いた。


「じゃあさ、好きな奴いるとか言えばいいじゃん」


「なんか癪だ、それ」


「なんでだよ」