君と僕の遥かな想い

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「……すごい」


目を奪われた。


小さいのにとてもスピードが早くスムーズで綺麗なボールテクニックだった。


俺の関心する声に隣で観ている1年の後輩の中津が自慢気に鼻を高くしていた。


そういえば、先程あの子と話してたから友達なのだろう。


「あの子ってバスケやってたの?」


「ああ、はい。中学の時バスケだったんです。
小学校の時もバスケやってたって言ってました」


「ふーん、でも今はやってないんだ」


「ああ…なんでも、体力があまりないらしくて、できないみたいなんです。中学の時はゆるゆるだったんですよ」


「そうなんだ、もったいな。あんなにすごいのに」



それよりも気に掛かる事がある。


前の時も思ったけど、あの子何か悪い事でもしたのだろうか?


さっきから胸糞悪い程に腹立つ言葉がずっと聞こえてくる。



「なあ、中津」


「はい」


「あの子ってどういう子なの?」


「えっ月野ですか? 月野は…すごく良い奴ですよ。
明るくて元気な性格ですかね〜」


どこにでもいる平凡な女の子って感じか。


「でも、時々すごく気が弱い所があって、落ち込みやすい感じですかね。何か抱えてるようなんですけど、ちっとも教えてくれなくて」


「そう…」


「でも、メンタル弱くなる理由も分かりますけどね」


「そうなの?」


「普段からあんな風に比較され罵られていたら、メンタルも弱くなりますよ」


「………」


「1年はあまり嫌味とか言ったりしないんですけど、2年生の先輩は女子がよく言ったりして、3年の先輩はくるな先輩と親しい人は言ったりしないけど、周りにいる憧れを持っている人女子が大半言ってます。男子より女子の方が嫌味を叩く人が多いんですよ」


「そう…」


「中学の頃からそんな感じだったんですよ」


「そうなんだ…」


俺はあの子の存在を知らなかったからあれだけど、悪い子じゃないと思う。


むしろかわいい良い子に見えるのに。