「あ、彼氏と一緒だったんだ」



「永瀬……なんか用?」



「べつに用ってわけじゃないけど、莉里見つけたから声かけちゃった」




そばに寄ってきた永瀬くんから、ふわっと心地いい柔軟剤のにおいが香ってくる。



わたしが見すぎていたからなのか、どうかした?とでも言いたげにキョトンとした顔で小さく首をかしげる永瀬くん。



……わたしの好きな人。




「はあ……もういいわ。別れてやるよ莉里」



「え……あ、うん…」



「だんだん好きになってくれればいいって付き合い始めたけど、もういいや。てか俺、お前のことそれほど好きじゃなかったよ。時間の無駄だった」